
ドキドキ、ワクワク、海外旅行、不安があるとしたら・・・?
ヨーロッパや東南アジアの観光地にはスリ被害が多発しています。
イタリアもスリが多い国のひとつ。
国によっても違いますが、一般的に、海外は日本よりも治安が悪い国が多いため、比較的安全な日本の暮らしに慣れている日本人は注意が必要です。
イタリア在住中にスリ被害に遭った実体験を基に、3度のスリ被害と1度の未遂体験、被害から得た教訓、スリに遭わないための対策などをまとめました。
海外で多発するスリ被害
海外旅行の罠、多発するスリ被害
海外旅行を計画し始めた瞬間から、滞在中もずっと続くドキドキワクワク!
心が解放され、あまりに楽しくて、どこかふわふわしてしまいます。
そんな楽しい気分を台無しにしてしまうのがスリ。
今も昔も海外でスリ被害に遭う日本人は少なくありません。
特に、ヨーロッパや東南アジアの観光地にはスリが多発しているので、細心の注意が必要です。
イタリア在住中にスリに遭う
私自身は、学生時代から留学したり、海外旅行に行ったり、就職後も毎年海外旅行を楽しみました。
イタリアに移住してからも、ヨーロッパを中心にさまざまな国を訪れました。
そんな私がスリに遭ったのは、住んでいたイタリアのフィレンツェ。
お恥ずかしながら、3度もスリ被害に遭いました。
イタリア在住中にスリ被害に遭った体験談

初めて財布をスラれる|フィレンツェ郊外
初めてスリに遭ったのは、フィレンツェ滞在10ヶ月目、語学学校に通い、イタリア生活に慣れてきた頃です。
忘れもしないその日はイタリア人の友人と一緒に郊外のショッピングセンターで買物をして、友人の家に遊びに行きました。
夕方帰ろうとしてバッグを見ると、財布がないのです!
家の中や車の中を探してもありません。
もしかして、ショッピングセンターでスラれた?
これまで何ヶ国も旅行してきて、一度も被害に遭ったことはないのに、まさか自分がスリに遭うなんて、しかも観光地でもない場所で?
一縷(いちる)の望みを繋ぎ、ショッピングセンターに引き返して、同じルートを辿り、レジで店員に尋ね、必死で、できる限りのことをやってみました。
ここは日本じゃないし、例えどこかに落としたとしても、拾って届けてくれる人なんているはずないとわかっていたのに。
少しずつ冷静に事態を把握できるようになり、自分の行動を振り返っても、人にぶつかられたとか、怪しい人がいた記憶も無く、どこでどうスリに遭ったのかわからないまま。
可能性としては、エスカレーターの上下がすれ違う瞬間だったかもしれません。
その後すぐ、イタリア人の友人に警察署に連れて行ってもらい、盗難紛失届を提出。
イタリア語で警察署は questura (クエストゥーラ)、盗難紛失届は Denuncia di Furto / Smarrimento (デヌンチャ・ディ・フールト / ズマリメント)。
財布の中にはクレジットカードやデビット機能がついたキャッシュカードが入っていたので、急いで自分のアパートに戻りました。
国際電話でクレジットカード会社とキャッシュカードの発行元に連絡すると、両方共すでに不正利用されたことが判明。
クレジットカードとキャッシュカードの差し止めを行いました。
クレジットカードは私たちが買物をしていた時間帯に同じショッピングセンター内のスポーツ店で利用されていたので、盗んですぐに使われたようです。
幸い、クレジットカードの被害は、後日盗難届を提出するなど、必要な手続きを経て、補償が効きました。
残念ながら、キャッシュカードでATMから引き出された現金20万相当は補償対象外。
一生懸命貯めた留学資金をこんな形で失ってしまうとは、高すぎる授業料を払うことになり、痛恨の極みです。
2度目は路上でジプシーに財布をスラれる|フィレンツェ
2度目はフィレンツェの観光地、花の大聖堂に近い道路で。
用があって、一人で歩いていたら、段ボールを持ったジプシーの子供数人が近づいてきて、あっという間に囲まれてしまいました。
ヤバイと気づいたものの、時すでに遅し。
ジプシーは素早く走り去り、コートのポケットから財布を抜かれていました。
よりにもよってなんでコートのポケットに財布を入れていたのか?
後から考えると、アホとしか言いようのない行為です。
最初にスリの被害に遭って以来、財布の中には必要最低限のモノしか入れないようにしていました。
クレジットカードやキャッシュカードは携帯していなかったので、被害は現金、50ユーロ札が1枚とその他数枚程度。
ただ、新しく買ったばかりのお財布で、金額ベースでは一番被害額が大きく、何よりもまたスリに、しかもあんな子供にやられた自分に無性に腹が立ち、しばらく立ち直れませんでした。
3度目は市バスの乗車時|フィレンツェ
2度あることは3度ある。
3度目は、市バスの乗車時。
フィレンツェ在住2年が経つ頃、ドゥオーモ近くから市バスに乗って通勤していました。
その日の朝も混雑していて、日本のように乗り降りするドアが決まっていないので、ドアが開くと乗る人と降りる人が入り乱れていました。
私がステップを上がってバスに乗り込むと、降りてきた男がこちらを見てにやっと笑ったのです。
嫌な予感がしてバッグを見ると同時にドアが閉まって、停留所から立ち去るその男に激しく憤りを感じても、またしても時すでに遅し。
盗られたのは、システム手帳でした!
この事件には後日談があり、ある日アパートに警察署から電話があり、捨てられていたシステム手帳を紛失物として預かっているとのこと。
手帳に書き留めていたアパートの住所や電話番号を見て、連絡してもらえたようで、スリに遭った経緯を説明しました。
引き取りに行くと、財布と間違えるなんて間抜けなスリとはいえ、バスの回数券など少しでも金目になるものは抜け目なく、全て抜き取られていました。
それでも盗品が戻ってきたのは奇跡に近く、警察からの電話を取り次いでくれたイタリア人ルームメイトも驚いていました。
警察に届けてくれた人に感謝すると同時に、イタリアにも親切な人がいるんだと救われた気持ちになりました。
4回目は未遂、地下鉄の車内|ローマ
4度目はずいぶん年月が流れ、クライアントに同行して、ローマに行った時に乗った地下鉄の車内。
一般的にイタリアは南に行くと治安が悪化すると言われているので、細心の注意を払っていました。
地下鉄は特に要注意。
しかも車内はかなり混み合っていて、見回すとジプシーが数人いるので、嫌な予感と胸騒ぎがしました。
ジプシーが近寄ってきたので、私自身はファスナーに手を掛けて持っていたバッグを引き寄せ、クライアントにもスリに気をつけてくださいと大声で叫びました。
案の定、クライアントのバッグのファスナーが半分開いていたそうです。
ジプシーは舌打ちしながら、次の駅で降車しました。
危機一髪、被害を防ぐことができて本当に良かった!
スリ被害に遭った後の考察
3度のスリ被害からの教訓
私がスリ被害に遭ったのは、全て住んでいたフィレンツェで、在住2年のうちに起きました。
特に1度目は被害額が大きく、大きな痛手を受けました。
精神的ショックも計り知れません。
2度目と3度目は金銭的な被害は少なかったとはいえ、しばらくショックで自己嫌悪に陥りました。
後から振り返ると、フィレンツェの暮らしに慣れてきたことで生じた気の緩みが原因だったと思います。
1度目は観光地ではなく、郊外でイタリア人と一緒にいたせいか、緊張が緩み、完全に不注意だったと猛省。
2度目と3度目は、仕事と通勤の疲れからか注意散漫だったと思います。
3度目は財布と間違えてシステム手帳が盗まれたとはいえ、かなりショックが大きく、もう2度とこんな失敗をしないと強く心に決めました。
それ以降10年以上、スリ被害に遭うことはありませんでした。
日本人観光客はカモ!
日本を観光したイタリア人から、電車が正確に発着することや乗車位置に合わせてピタリと止ることに感激したのと同じくらい、電車の中で寝ている人がいるのに驚いたと口々に聞きました。
確かに、日本の電車は酔っ払っていびきをかいて眠りこけている人やぐらぐら揺れながら居眠っている人は珍しくありません。
イタリアでは、電車の中で居眠りはありえません。
治安の良い国で生まれ育った日本人は海外でも日本と同じような感覚で行動してしまうとスリの格好の餌食になります。
実際、日本人観光客がイタリアの電車の中でスリにバッグを盗まれたという話を何度か聞きました。
イタリアの観光地を歩いていると、日本人の私から見ても、無防備だと感じる人が少なくなく、スリに狙われても仕方のないような行動をしている人もちらほらいて、危なっかしく見えます。
スリ被害者から注意喚起する立場へ
イタリア在住中は家族や友人が何人も遊びに来てくれました。
そして、仕事で、商用や観光でイタリアを訪れる日本人のアテンドをするようになりました。
家族、友人はもちろん、クライアントにもスリ被害に遭わないように到着時に必ずアドバイスしました。
お迎え時にスリ対策について話したクライアントから、滞在中に疲れが出た時に私の言葉を思い出して、ホテルで半日休んだ結果、体調が回復、最終日まで満喫できましたと帰り際に言ってもらいました。
また、別の観光地でスリに遭って落ち込んでいたクライアントを励まして、対策を伝えたところ、フィレンツェでは楽しく観光できたそうです。
スリ被害に遭わないための対策
- 不要な貴重品や大金は持ち歩かない
- 貴重品はできる限り隠す
- 高価な服装や装飾品を身につけない
- ファスナーやフラップのあるバッグを選ぶ
- 常に荷物に意識を向け、絶対に離さない
- 体調が悪い時や疲れている時は無理をしない
実際に自分自身が実践していたことや、家族や友人、クライアントにアドバイスしたことを紹介します。
幸い、家族や友人、仕事を通して出会ったクライアントは誰もスリ被害に遭わず、イタリアを楽しめたようなので、参考になれば嬉しいです。
不要な貴重品や大金は持ち歩かない
そもそも貴重品や大金を持ち歩かなければ、たとえスリに遭ったとしても致命傷にはなりません。
基本、その日必要なモノだけ携帯。
海外ではキャッシュレスが普及しているので、多額の現金を持ち歩くことは少ないとはいえ、現金派も財布にまとめて入れずに、小分けにして持ってリスク分散します。
私自身も最初のスリ被害で学んで、不要なクレジットカードやキャッシュカードを携帯するのを止めたり、持ち歩く現金を減らしたりしたことが功を奏して、被害を減らせた経験があります。
貴重品はできる限り隠す
スリはどこに潜んでいるかわかりません。
道端で不用意に財布を開けたり、人に見せたりしないようにします。
私自身の2度目のスリ被害はコートのポケットに財布を入れるという失態が原因。
多少不便でも、服の内側に身につけられる貴重品用の腹巻や首から下げるタイプのケースなどを活用するとより安全です。
私の場合、さすがに在住期間が長くなってからは使わなくなりましたが、当初はイタリア国内を旅行する時などに利用しました。
高価な服装や装飾品を身につけない
海外で日本人は目立ちます。
そして、スリにとってはカモ。
なので、できるだけシンプルな服装を選び、高価な時計やジュエリーを身につけるのは避けましょう。
ファスナーやフラップのあるバッグを選ぶ
街歩きには、できるだけファスナーやフラップのあるバッグを選びます。
口が大きく開いていたり、ファスナーや留め具、フラップのないタイプのバッグはダイレクトにスリの手が入るので、狙われやすく、盗られやすいです。
ファスナーやフラップが付いているだけでも予防になり、私自身は意識的にファスナーやフラップに手を添えていました。
そして、ショルダーバッグは斜めがけで。
常に荷物に意識を向け、絶対に離さない
常に荷物に意識を向けることが大切です。
バッグを容易に椅子やテーブルの上に置かないのはもちろん、持ち歩く時もファスナーに手を添えたりして、バッグに意識を向けていることをスリにアピールすると効果的。
スーツケースを持ち運ぶ際も、絶対に手を離さないようにします。
電車の荷物置き場を利用する場合は、停車駅で荷物が持ち去られないようにチェックしに行ったり、ワイヤーロックを利用するなどの工夫が必要です。
体調が悪い時や疲れている時は無理をしない
意外と忘れがちですが、海外での滞在はどんなに楽しくても無意識に気力と体力を消耗します。
旅の疲れを感じたり、体調が悪い時は無理をして出掛けないことも大切です。
特に海外に滞在中は時間を無駄にしたくないという思いが強くなりますが、疲れている時や体調が悪い時は注意散漫になり、スリの格好の餌食になりかねません。
無理をしてスリや事故に遭ってしまったら、それこそせっかくの楽しい旅行や大事な出張が台無しになってしまいます。
疲れを感じたり、体調に不安がある時は無理をせず、思い切って休む勇気を!
ホテルや宿泊先で1、2時間体を休めるだけでラクになります。
海外旅行を最後まで楽しむために、万全なスリ対策を!
スリ被害に遭うと、金銭的な被害はもちろん、精神的なショックも多大。
クレジットカードやキャッシュカード、パスポート、スマホなど盗まれたモノによっては必要な手続きをするためにさらに時間もお金もかかります。
私自身は海外留学中や旅行では一度もスリに遭わなかったのに、イタリア在住時に3度も被害に遭いました。
全て滞在して最初の2年の間に起こった事件で、それ以降の10年以上はクライアントの未遂事件を除くと、スリ被害からは無縁でした。
住んでいる国で3度もスリに遭うのは十分間抜けですが、この痛い体験が教訓となって、対策を怠らなかったおかげで、スリに狙われなくなったと思います。
もちろん、イタリア在住期間が長くなるにつれて風貌や行動が日本人観光客と違ってきたのも要因だと思います。
とにかく、スリはプロ。
常にカモを狙って徘徊しています。
盗まれてしまったモノは、基本戻ってきません。
大切な貴重品や旅行のために貯めたお金、そして自分の身を守るために、できる限りのスリ対策をした上で細心の注意を払って、海外での滞在を楽しみましょう!

