新しいノート
イタリア生活&自分らしいライフスタイルを築くための記録
イタリア

イタリアのメロンは甘くて安い!高級感のある日本のメロンとの違い

果物店に並ぶカンタロープ(イタリア、トスカーナ州のメロン)

イタリアの夏、メロンをよく食べました。

日本ではメロンは日常的に食べるフルーツというより、贈答用に選ばれたり、高級感があって、プチ贅沢なイメージが強いです。

一方、イタリアのメロンはとにかく安くて身近で庶民的!

八百屋さんではゴロンと無造作に並び、スーパーでは大小さまざまなサイズのメロンが山のように積まれていて、ひとつずつフルーツキャップにくるまれてきれいに並べられた日本のメロンとは対照的です。

同じフルーツなのになぜこんなに違うのか不思議に思います。

メロンについての豆知識や歴史、イタリアのメロンの特徴、食べ方(生ハムメロン)、日本のメロンとの違いなどをまとめながら、なぜ違いが生まれたのか考えてみました。

メロンの豆知識

イタリア語ではメローネ

イタリア語でメロン1個はmelone(メローネ)、複数でmeloni(メローニ)。

地方によって呼び方が異なり、フィレンツェで有名なトスカーナ州ではpopone(ポポーネ)と呼ばれています。

ヨーロッパで誕生した甘いネットメロン

メロンの原産地については諸説あり、アフリカやインドが有力です。

歴史は長く、古代エジプトにまで遡り、ローマ帝国では広く普及していました。

この頃のメロンは現在のように甘くなく、野菜の一種としてサラダに入れて食べられていたようです。

イタリアでは中世(11~13世紀)から栽培が始まり、時を経てヨーロッパ各地に広がり、改良され、果皮に編目模様のあるメロン(ネットメロン)が誕生しました。

このヨーロッパで発達したネットメロンは「西洋系メロン」と言われ、日本に輸入されたのは明治時代の初めです。

そこから日本でネットメロンの栽培が始まり、品種改良を重ね、高級なマスクメロンなどが誕生、日本ならではの温室栽培によるクオリティを重視したメロンが進化を続け、今に至ります。

イタリアのメロンの特徴と生ハムメロン

日本のメロンとの違い

イタリアでは、食後にフルーツを食べる習慣があり、全般的に果物が安価です。

メロンも手頃な価格で、高級感がある日本のメロンとは対照的。

ヨーロッパから輸入されたネットメロンは日本では高級化路線を辿りますが、イタリアでは安くて美味しい日常的に消費する果物として根付いています。

ルーツが同じなのに、国が変わるとこんなに違いが出るのはとても興味深いです。

丸くて、形が整った日本のメロンに対し、イタリアのメロンはラグビーボールのような楕円形で大きさも形もまちまち。

また、日本では温室で宙づりで大切に育てられる光景がテレビで紹介されていますが、イタリアでは露地栽培で畑に大きく育ったメロンが土の上にゴロゴロと横たわっている風景を何度も目にしました。

温室で大切に育てられた箱入り娘と、太陽の光をたっぷり浴びて元気いっぱいに育つやんちゃ坊主、そんな違いを感じます。

国民性や食文化に合わせてメロンが進化した結果なのだと思います。

イタリアの赤肉メロン、カンタロープ

カットしたイタリアのメロン、カンタロープ

イタリでもメロンの品種は豊富で、地域差もあります。

フィレンツェが州都のトスカーナ州では、果皮は薄い黄緑色で編み目があり、果肉は鮮やかなオレンジ色のメロンが主流。

カンタロープという品種で、主にヨーロッパ南部や北米で露地栽培されています。

夕張メロンを思わせる赤肉種ですが、安価で毎日でも食べられるお財布に優しいメロンです。

スーパーでは、ジャガイモやトマトと同じようにゴロゴロと山積みで売られているのに、日本のメロンに負けないくらい甘くて美味。

量り売りなので、自分の好きな大きさで甘い香りがする熟したメロンを選んで、買物に行く度に買っては冷蔵庫に常備していました。

イタリアの夏の代表的な前菜、生ハムメロン

生ハムメロン

夏が旬のメロン、日本と同じようにフルーツとして食べることもありましたが、イタリアでは圧倒的に生ハムを乗せて食事の前菜として食べる機会が多かったです。

クーラーなしで過ごしたイタリアの夏、特に暑さが厳しい日は火を使って料理するのも億劫になり、そんな日はもっぱら生ハムメロン。

冷蔵庫の中から冷えたメロンと生ハムを取り出して、カットしてお皿に盛り付けるだけで、一皿が完成!

イタリアの夏に欠かせないアンティパスト(前菜)です。

生ハムメロンはイタリア語で prosciutto e melone(プロシュット・エ・メローネ)。

パルマ産やサン・ダニエレ産のドルチェ(甘い)と呼ばれる生ハムと合わせます。

ちなみに生ハムには塩味が強いタイプ(サラート)と塩味が控えめなタイプ(ドルチェ)があり、トスカーナ産は塩味が強いサラート、北イタリアのパルマ産やサン・ダニエレ産は塩味がマイルドなドルチェです。

冷えたメロンのみずみずしくひんやりした口当たりと生ハムのまろやかな食感、メロンの甘みと生ハムの塩味が絶妙に調和して、やみつきになります。

食欲がなくなりがちな時もスルスルと喉を通り、イタリアの暑い夏を乗り切るのに欠かせない一品です。

南イタリアの黄色いメロン

シチリア(イタリア)の黄色いメロン

南イタリアでは黄色いメロンが多く出回ります。

トスカーナでは見かけない品種です。

夏にシチリアを訪れる度にこの黄色いメロンや巨大なスイカがトラックの荷台に積んで売られている光景を見ました。

びっくりするくらい大きな楕円形で太陽のように明るい黄色です。

ずっしりと重いメロンをカットすると、白い果肉が顔を出し、さっぱりとした甘さ。

そして安い。

一般的に南イタリアは全体的に物価が安いので、さらに安く感じます。

美味しいフルーツが安価で、手軽に食べられるのはイタリアの魅力のひとつです。

イタリアのメロン vs 日本のメロン

日本のネットメロンは見た目が美しく、上品な味、フルーツの中でも特別感があります。

でも、イタリアではメロンは素朴でごくごく日常的なフルーツ、手ごろな価格で毎日でも食べられます。

イタリアのメロンと日本のメロン、それぞれに良さがありますが、猛暑が続くとイタリアのメロンが懐かしく、無性に生ハムメロンが食べたくなります。

生ハムメロンはまさに夏バテ予防に最強なのです。

メロンも生ハムも日本で手に入る食材。

でも、日本のメロンはそれだけで風味が完成しているので、メロンだけで食べた方が美味しいと思います。

なので、生ハムメロンを食べるなら、やっぱりイタリアの大地が育んだメロンが向いています。

イタリアのメロンも日本のメロンも同じヨーロッパのネットメロンから進化して、それぞれの国の嗜好に合った進化を続けた結果、性質の異なるメロンが定着しました。

素朴で安い身近なイタリアのメロンと見た目も美しい高級感のある日本のメロン、どちらがお好みですか?

メロンから、食文化の違いについて思いを巡らせてみるのも面白いかもしれません!