春の訪れと復活祭、イタリアの人気菓子&フィレンツェの山車の爆発

イエス・キリストの復活と春の訪れを祝う復活祭。
日本では、クリスマスやハロウィンなど、多くの西洋の祝祭が定着していますが、復活祭を祝う習慣はありません。
復活祭は、西欧ではクリスマスと並ぶ最も重要な祭日です。
イタリアでは、復活祭は Pasqua (パスクァ)。
イタリア生活で体験したパスクァについて、代表的なお菓子、フィレンツェの伝統行事などをまとめました。
イタリアの復活祭
復活祭とは?
復活祭は、十字架にかけられて亡くなったイエス・キリストが3日目に復活したことを祝う、キリスト教でクリスマスと並ぶ最も重要な祭日です。
イエス・キリストが金曜日に処刑され、日曜日に復活したという聖書の記述に基づいています。
英語圏では、 Easter (イースター)。
クリスマスは12月25日と日付が決まっているのに対し、復活祭は春分の日の後の最初の満月の次の日曜日に当たるため、年によって日付が変わる移動祝日です。
3月末から4月頃になります。
- 2025年は4月20日
- 2026年は4月5日
- 2027年は3月28日
復活祭は、春の訪れを祝う日でもあります。
復活や生命を意味する卵や多産や繁栄を意味するうさぎをモチーフにした装飾が施され、クリスマスと同様に家族で祝い、卵料理や羊肉などの特別な料理を楽しみます。
屋内外に隠された卵を子供が探すエッグハントも復活祭のイベントとして知られています。
復活祭の前後がグッド・フライデーやイースター・マンデーのように、連休になる国もあります。
イタリアの復活祭
イタリアでは、復活祭はナターレ(クリスマス)と並び、最も大きなイベントです。
普段は親元を離れて暮らしている学生も社会人も、復活祭の休暇には実家に帰省して家族で祝います。
イタリアでは、復活祭は Pasqua (パスクァ)、翌日の月曜日は Pasquetta (パスクエッタ)となり、両日とも祝日です。
パスクァは家族で食卓を囲み、パスクエッタは友達とお出かけするのがイタリア流。
クリスマスと同様、復活祭も昼前から夕方までお腹がはち切れるくらいのご馳走で祝います。
パスクエッタには、春の陽光に包まれて、うきうき、ワクワク、出かけるのも楽しい祝日なのです。
イタリアの復活祭の代表的なお菓子
鳩の形をしたコロンバ

パスクァを代表するお菓子と言えば、colomba pasquale (コロンバ・パスクアーレ)。
Colomba di pasqua (コロンバ・ディ・パスクア)とも言われますが、通常は省略してコロンバと呼ばれます。
イタリア語で、コロンバは鳩。
コロンバは平和と愛、聖霊の象徴である鳩の形をした発酵生地で作られた甘いケーキです。
生地には柑橘系ピールが練り込まれ、表面にアーモンドや白いシュガースプリンクルがまぶされているのが特徴。
イタリアと聞くと、長い歴史を持つ伝統的なお菓子かと思ってしまいますが、実は比較的新しいお菓子です。
1930年代に、クリスマス菓子のパネットーネのパスクァ・バージョンとして、大手菓子メーカーから販売されたのが始まり。
コロンバはイタリア全土に広がり、パスクァを代表するお菓子に。
パスクァ前にはさまざまなコロンバがケーキ店やスーパーに賑やかに並びます。
パネットーネと同じように、切り分けたコロンバを家族や友人と一緒に食後のデザートとして楽しみます。
イタリアのクリスマス菓子については、下記の記事に詳しくまとめています。
チョコレートで作られた卵、ウオーヴォ・ディ・パスクァ

卵は古くから生命や再生の象徴とされ、復活祭ではイエス・キリストの復活を表します。
復活祭には、特別に彩色や飾りが施された鶏卵で祝う習慣があります。
日本人にとっては、英語名のイースターエッグと聞くと、イメージしやすいかもしれません。
イタリアでは、Uovo di Pasqua (ウオーヴォ・ディ・パスクア)または Uovo pasquale (ウオーヴォ・パスクアーレ)と言います。
イタリア語で、 Uovo (ウオーヴォ)は卵の単数形。
もともとは、染めたり塗ったりした鶏卵が使われたようですが、現代ではチョコレートで作られた卵がポピュラーです。
英語圏では、ウズラの卵のような小さな卵形のチョコレートや鶏卵と同じようなサイズのチョコレートを見かけましたが、イタリアでは、カラフルにデコレーションされた特大のチョコレートが目立ちます。
初めて特大のウオーヴォ・ディ・パスクァを見た時は、
こんなに大きなチョコレート、食べきれるんやろか?
とびっくりしましたが、実は・・・
イタリアでポピュラーなウオーヴォ・ディ・パスクァは、卵の形をした中が空洞のチョコレートなのです。
大手菓子メーカー製だと、子供向けに可愛らしくデコレーションされた卵の中にちょっとしたおもちゃが入っていたりします。
なかには、アート作品のようにアーティスティックにデコレーションされた卵型のチョコレートも。
カラフルにデコレーションされた卵型のチョコレートは店に並んでいるのを見るだけでも、ワクワクします。
地方で受け継がれる伝統的なパスクァのお菓子
パスクァも、ナターレと同様に、各地の伝統的なお菓子で祝います。
トスカーナ地方、特にフィレンツェの伝統的なパスクァのお菓子は Pan di Ramerino(パン・ディ・ラメリーノ)。
Ramerino はトスカーナ弁でローズマリー。
ちなみに、イタリア語では、 rosmarino (ロズマリーノ)です。
パン・ディ・ラメリーノはローズマリーとレーズンを練り込んだ甘いパンで、復活祭前後の四旬節にパン屋さんに並びます。
オリーブオイルの風味とローズマリーの香りが特徴で、素朴ながら風味豊かで柔らかく、表面に十字の切れ込みが入っているのが一般的です。
また、南イタリア、特にナポリの伝統的なパスクァのお菓子は Pastiera (パスティエラ )。
リコッタチーズ、小麦、オレンジの花の香りを加えたしっとりとしたタルトです。
リコッタチーズとオレンジの風味が素朴で優しい味わいのタルトは、他の地域でもよく知られる人気のスイーツです。
フィレンツェのパスクァの伝統行事、山車の爆発
ドゥオーモ広場の山車の爆発

フィレンツェでは、パスクァの午前中にドゥオモ広場で、 Scoppio del carro (スコッピオ・デル・カッロ)と呼ばれる、約900年の歴史を持つ伝統行事が行われます。
イタリア語で Scoppio は爆発、carro は山車、山車の爆発という意味です。
白い牛に引かれた Brindellone (ブリンデッローネ)と呼ばれる山車が花火で爆発し、豊作や繁栄を祈願します。
現在の山車の形状は1600年代に遡り、高さ10 m以上もあり、大迫力。
山車は、パスクァ当日、艶やかな花飾りでおめかしした4頭の白牛に引かれ、中世の衣装に身を包んだ、華やかな行列と共に、フィレンツェ旧市街の西の城門、プラート門を出発して、市内を練り歩き、ドゥオーモ広場へ。
大聖堂のミサ中に、聖なる火をまとった機械仕掛けの鳩(コロンビーナ)が、祭壇からドゥオーモ広場の山車までワイヤーを伝って飛行し、花火に点火します。
コロンビーナが山車に衝突して見事点火に成功すると、その年は平和と豊作、幸運が訪れるとされています。
山車の爆発の儀式を鑑賞
私自身は、フィレンツェで暮らし始めた最初のパスクァにドゥオーモ広場まで出掛けて、儀式を鑑賞しました。
朝からすごい人、人、人!
あまりの人の多さに圧倒される中、遠目にコロンビーナがドゥオーモから飛び出し、山車がすごい勢いで爆発したのを鮮明に覚えています。
長い時間待った割に、あまりにもコロンビーナが小さく、速かったので、一瞬の出来事でした。
その後の爆発はかなりの爆音で、迫力満点!
ゆったりとした伝統行列と機械仕掛けのコロンビーナの融合が、なんだかとてもチグハグで、イタリアらしいと感じたことが印象に残っています。
とにかくすごい人だったので、フィレンツェで10年以上暮らしたにも関わらず、ドゥオーモ広場で山車の爆発を見たのは、後にも先にも一度きりでした。
白牛に引かれる山車と行列

フィレンツェのパスクァには、京都の葵祭のように、中世の衣装に身を包まれた人や楽団が華やかに練り歩きます。
白牛に引かれる山車のすぐ後ろには、たっぷりと卵が入った籠(かご)を載せて、色とりどりの花で覆われた花車(はなぐるま)が数台続きます。
行列が通る道に面したアパートに住む人々が一斉に窓から顔を出して、華やかなパスクァの行列を見送ります。
陽光に輝く春の訪れとパスクァ
イタリアでは、パスクァはナターレ(クリスマス)と並ぶ最も大切な祭日です。
陽光が眩しく感じられ、春の訪れと共に祝う、パスクァは自然と心が浮き立ちます。
パスクァの方が好きとか、楽しみというイタリア人もいるくらいです。
日本では、復活祭を祝う習慣はなく、春というと桜のイメージ。
満開の桜の樹の下に多くの人が集って春の到来を祝うのも素敵です。
それでも、帰国して何年も経った今もなお、春が来ると今年のパスクァはいつだろうとググってしまいます。
春、木々や草花が芽吹き、色鮮やかな花を咲かせる季節です。
心の花も咲きますように!
Buona Pasqua (ブォナ・パスクァ)!!!
素敵な復活祭を!

