生活に欠かせない銀行口座。
このところ、銀行業界はめまぐるしい変化を遂げています。
日本では銀行口座を無料で維持できるので、複数保有する人が多いですが、放って置かずに、業界の変化にしっかりアンテナを張って、定期的に見直すことが大切です。
実際に銀行口座の見直して、2000年に初めて誕生して以降、次々にできたネット銀行の2つの形態の違いや特徴、利用して気づいたことや変化したことなどをまとめました。
新しいサービスに関心を持っても、不安やためらいを感じてしまいがちですが、しっかり情報収集して大丈夫と思えたら、試してみる価値はあります。
銀行口座の見直し
日本の銀行の統廃合と新規参入
イタリアに在住していた十数年間、日本の銀行は、合併、グループの再編、そして異業種の参入など、大きな変化がありました。
一時帰国する度に、メガバンクの名称が変わっていたり、合併していたり、なにかしら変化があり、それが積もり積もって銀行の名前を聞いてもどこかピンとこなくなっていました。
さらに、ネット銀行が次々に誕生。
銀行業界についてすっかり疎くなってしまい、浦島太郎状態に。
生活スタイルに合わせて銀行口座を見直す
帰国してしばらく経ち、仕事を始めると給与や報酬の振込に銀行口座を利用するようになり、生活スタイルに合わせて、銀行口座を見直す必要性を感じました。
日本では銀行口座を無料で維持できるため、複数保有している人が多く、休眠口座を放置している人も少なくありません。
私の場合、イタリアに移住する前に不要な銀行口座を解約したので、もともと2行、帰国した時点で普通銀行3行の口座を持っていました。
そのうちイタリア在住中、緊急用に日本の口座から現金を引き出すためのデビットカードを発行する目的で開設した口座については、帰国してから休眠口座化していたので解約。
この時点で、長年保有している普通銀行2行に。
不要な口座を解約してすっきりしたせいか、新しいネット銀行について情報収集して、必要なら新しく口座の開設を検討しようと考えました。
イタリアの銀行について小話
世界最古の銀行はイタリアに
ここでイタリアの銀行について少し。
現存する中で世界最古の銀行はイタリアにあります。
1472年に創業した、トスカーナ州の古都シエナにあるモンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ銀行 (Banca Monte dei Paschi di Siena、 MPS) です。
本店はシエナ歴史地区のサリンベーニ広場の奥に建つサリンベーニ宮殿にあり、アーチ型の入口には、 MONTE DEI PASCHI と刻まれています。
1472年というと、日本は室町時代、応仁の乱が繰り広げられていました。
その時代に創業され、500年以上存続する銀行と知ると、イタリアの歴史の深さを感じずにはいられません。
イタリアの銀行のサービス
イタリアで仕事をするようになり、銀行口座を開設。
通帳が発行されず、もちろん届出印はありません。
イタリアでは銀行口座を開設すると、定期的に口座管理料がかかります。
なので、休眠口座があるなんて考えられません。
日本の銀行のサービスとの違いに戸惑いもありましたが、慣れると全く気にならなくなりました。
ATMは街のあちこちに設置されていますが、通りに面してボックスがないのがほとんどで、現金を引き出す度に人目が気になり、ドキドキした記憶があります。
また、一度に引き出せる限度額が低いのも特徴。
イタリア在住中は銀行口座は1行のみで問題なく、その影響を受けてか、帰国後も普段使わない口座は解約してしまったほうが管理がラクだと考えています。
ネット銀行の2つの形態と特徴
ネット銀行とは
2000年以降に増えたネット銀行は普通銀行と何が違うのか、気になります。
ネット銀行とは、店舗を持たずインターネット上でサービスの提供を行う銀行のことで、インターネット専業銀行の略式名です。
金融庁は、従来の伝統的な銀行業にはない『新たな形態の銀行』と分類しています。
日本初のネット銀行はジャパンネット銀行(現在のPayPay銀行)で、金融庁が銀行業への参入規制を緩和した2000年10月に開業しました。
その後、『新たな形態の銀行』の参入が本格化しました。
預金金利、利用できるATM数や手数料、振込手数料、資産運用管理口座などで各行がさまざまな特徴を打ち出しているのが特徴です。
ネット銀行の2つの形態
広義のネット銀行は大きく2つの形態に分けられ、インターネット専業銀行8行と流通系銀行3行、合わせて11行です。
インターネット専業銀行 | 実店舗を持たず、インターネット上を主体にサービスを提供 |
流通系銀行 | コンビニエンスストアや商業施設の店舗にATMを展開 |
インターネット専業銀行
ネット専業銀行は実店舗を持たず、インターネット上を主体にサービスを提供します。
2024年3月末時点で、楽天銀行が預金残高、口座数共にトップ。
- 楽天銀行
- 住信SBIネット銀行
- 大和ネクスト銀行
- ソニー銀行
- auじぶん銀行
- PayPay銀行
- オリックス銀行
- GMOあおぞらネット銀行
流通系銀行3行
流通系はコンビニや商業施設の店舗に独自のATMを設置してサービスを提供します。
- イオン銀行
- セブン銀行
- ローソン銀行
ネット銀行の特徴
- インターネット上でいつでもどこでも利用できる
- 通帳は発行されない
- 現金の入出金はATMを利用
- 預金金利が高い
- 各種手数料が安い
インターネット上でいつでもどこでも利用できる
ネット銀行の特徴は実店舗がないため、全ての手続きをインターネット上で行います。
普通銀行は営業日や営業時間に合わせて店舗に足を運んだり、窓口が混み合っていると待ち時間が発生したりしますが、ネット銀行では口座開設から振込など各種取引がインターネット上で完結します。
便利でタイパやコスパが良いのが最大のメリットです。
通帳は発行されない
ネット銀行で口座を開設しても通帳は発行されません。
口座の動きはインターネット上で確認します。
普段、普通銀行で通帳記帳してお金を管理する人にとっては、不便に感じるかもしれませんが、慣れてくるものです。
さらに、届出印が必要ないのも特徴です。
普通銀行で複数口座を持っていると、届出印がわからなくなったり、紛失したりして手続きが滞ることがありますが、こうした問題が発生しません。
現金の入出金はATMを利用
ネット銀行について初めて知った時、どのように入出金するのかが一番の疑問でした。
インターネット専用銀行は店舗も自社ATMもないため、メガバンクやゆうちょ銀行、コンビニなどの提携ATMを利用して入出金します。
口座開設する際は、各行の提携ATMをチェックして、利用しやすいATMと提携しているネット銀行を選びましょう。
預金金利が高い
ネット銀行は店舗を持たないため、コストが低く抑えられます。
そのため、普通預金、定期預金共にメガバンクや地銀などの普通銀行よりも預金金利が高く設定されているのがメリットです。
SBI証券と口座を連携させると金利がアップする、独自のサービスが提供されています。
また、楽天銀行や住信SBIネット銀行では、それぞれ楽天証券やSBI証券と口座を連携させると金利がアップする、独自のサービスが提供されています。各種手数料が安い
ネット銀行では、振込手数料やATM利用手数料が普通銀行に比べて安い傾向にあります。
さらに振込手数料やATM利用手数料が○回までなら無料というふうに、無料回数が定められています。
自分の生活スタイルに合わせて、ネット銀行のサービスを利用すると手数料などの負担が軽減できます。
ネット銀行ならではのサービスを活用
ネット銀行口座の開設
ネット銀行について情報収集を重ね、従来のメガバンクや地銀などの普通銀行とは違う、独自のサービスが展開されていることがわかり、試しにネット銀行口座を開設してみようと思い立ちました。
早速、ネットバンク2行の口座を開設。
インターネット上で口座開設が完了、提携ATMから入金すると、ウェブ上で取引を始められます。
貯蓄用口座として定期預金に預ける
ネット銀行の使い勝手を体験するために開設したので、メインバンクは従来の普通銀行のままです。
利息がないに等しいこのご時世とはいえ、ネット銀行は普通銀行よりも預金金利が高いというメリットを活かして、定期預金を預け替えました。
提携ATMから普通預金口座に入金して、自宅でネットバンクの口座にアクセス、定期預金口座に移動させるだけです。
リアルタイムで取引できるのも快適です。
ネット銀行口座と証券口座の連携
ネット銀行について情報収集しながら、証券口座の開設を検討していました。
結果、ネット銀行口座と証券口座を連携できる、住信SBIネット銀行の口座を開設。
同時期にSBI証券の口座も開設。この選択が、今後お金の勉強と投資を始めるきっかけをつくってくれました。
ネット銀行を利用してみた結果
ネット銀行を利用し始めて3年、現在は普通銀行2口座、ネット銀行2口座です。
新しいサービスを取り入れるのは思い切りが必要です。
それでも、まずは試してみると、順応するかもしれないし、新しい世界が広がる可能性もあります。
私の場合、イタリアの銀行を利用した経験があり、通帳がないことにも慣れていたので、新しいサービスを試すハードルが低かったことも相まって、普通銀行とネットバンクと併用するうちに、段々ネットバンクのほうが使いやすいと感じるようになりました。
そろそろ、メインバンクでない普通銀行の口座を解約して、普通銀行1口座、ネット銀行2口座にしてもいい頃だと考えています。
銀行業界はめまぐるしい変化を遂げています。
近年は普通銀行の通帳の有料化やATM手数料の値上げなど、これまでにない変化が見られ、そのうちイタリアの銀行のように、口座を維持するだけで口座管理料がかかる時代がくるかもしれません。
銀行口座は生活に欠かせないからこそ、業界の変化にしっかりアンテナを張って、定期的に見直すことが大切です。
トレンドを見据えて、自分の生活スタイルに合った銀行口座を選んで、有効に活用したいものです。