
京都市の隣、宇治市に店舗を構えるベーカリー『たま木亭』。
たま木亭では、食パンをはじめ、菓子パン、調理パン、食事パンなど多種多様な焼き立てのパンが並びます。
食パンはこれまで数種類作られていましたが、最近は一般的な四角い形の角食のみ。
角食は人気のパンのひとつで、平日でも早々に売り切れになることも。
たま木亭に実際に足を運んで得た情報や角食を愛食する経験を基に、唯一の食パンとして人気の角食について、基本情報や特徴、予約方法、楽しみ方などを紹介します。
たま木亭は京都の行列ができるベーカリー
たま木亭の基本情報

住 所 | 京都府宇治市五ヶ庄平野57-14 |
TEL. | 0774-38-1801 |
営業時間 | 7:00~18:45 |
定休日 | 月曜日、火曜日、水曜日 |
アクセス | JR奈良線黄檗駅 徒歩5分 京阪宇治線黄檗駅 徒歩6分 専用駐車場完備 32台 |
公式ウェブサイト | http://www.tamaki-tei.com/ |
たま木亭は2001年2月、京都府宇治市の黄檗駅近くにオープン。
記憶を辿る(たどる)と、間口の小さなマンションの地階にあり、お客さんが数人でいっぱいになるような小さな店舗でした。
その後、2015年7月、そこから歩いて5分ほどの場所に移転して、リニューアルオープン。
現店舗は広い敷地に駐車場を備えた路面店で、京都大学の宇治キャンパスの向かいにあります。
季候が良い時期には、焼きたてのパンを芝生の上で食べる人の姿も見られます。
たま木亭は食べログの100名店に2017~20年と2022年に選ばれた実力店。
食べログで発表された京都府にあるパンのお店のランキング(2025年2月1日更新)で堂々1位に輝いています。
たま木亭はパン好きなら一度は行ってみたいと思うすごいベーカリーなのです!

営業日は木金土日
たま木亭は人気店なのに、週休3日!
毎週月、火、水は休みです。
なので、木曜日から日曜日まで、週4日間の営業。
たまに臨時休業があるので、事前に公式サイトをチェックしておきましょう。
周辺は食堂が数軒あるくらいで、特に何もない場所ですが、連日たま木亭のパンを目当てに訪れる人が後を絶ちません。
特に、土日祝日の午前中から午後3時頃までは府外からも大勢の人が来るので、道路まで長い行列ができることもあります。
支払い方法は現金のみ!
たま木亭は遠方から来る人も多く、爆買いする人も少なくありません。
ただ、支払い方法は現金のみ。
キャッシュレス派は、たま木亭に行く際は事前に現金があるか確認を!
パンを選び終わったらレジに並び、順番が来たら、トレーを置きます。
マイバッグ持参なら店員さんに預けます。
4,000円以上購入すると紙袋が無料でもらえます。
セミセルフレジなので、レジ打ちが済むと、精算機に現金を投入して決済します。
たま木亭の食パン
食パンは1種類、角食のみ

たま木亭では、これまで数種類の食パンが作られていましたが、最近は一般的な四角い形の角食のみ。
レジ横のショーケースの上段に、バゲットの隣に並んでいます。
こちらのパンはセルフサービスではなく、レジで店員さんに頼んで購入します。
角食は1本(2斤)または1/2(1斤)単位で販売されています。
1斤の5枚切とスライスしていないブロックがあります。
店頭に並ぶ角食は、へた(耳)を落としてスライスされています(落としたへたも袋に入っています)。
焼き立てはハーフサイズに切れないので、1本のみ購入可能です。
店舗でスライスするサービスはないため、好みの厚さにスライスした角食を購入するには前日までに予約が必要です。
または、ブロックを購入して自分でスライス。
予約をすると、希望の枚数にスライスしてもらえます。
へたからの切り出し(へたを含めて)でスライスしてもらうことも。
ビニール袋は開封状態で保管され、ビニールタイがついています。
角食の値段は?
気になる角食の価格は2025年2月現在、1斤390円、1本(2斤)780円。
スーパーに並ぶ食パンに比べたら高いけれど、高級食パンに比べたら良心的な価格です。
この数年は小麦価格や物価の高騰の影響を受け、数回値上げされましたが、それでも角食のクォリティを考えれば、買うのを止めようとは思いませんでした。
コスパ抜群なのです。
マニトバ小麦とは?
たま木亭の角食のポップには、
粉の旨みを十分に活かすため、シンプルなレシピを採用。マニトバ小麦一本挽きを使用しています
と手書きで書かれています。
マニトバ小麦とは、もともとはカナダのマニトバ州を主産地とする品種です。
1971年よりカナダ・ウエスタン・レッド・スプリング小麦(CWRS)という呼称になりました。
カナダ・ウエスタン・レッド・スプリング小麦はカナダ中部のアルバータ州、サスカチュワン州、マニトバ州で生産されるカナダを代表する硬質の赤色春小麦です。
カナダ穀物委員会(Canadian Grain Commission)により、NO.1からNO.3までの3等級に格付けされています。
日本は通常NO.1等級(略称1CW)のうち、輸出時のタンパク質含有量13.8%以上のものを輸入。
製粉性と製パン性が優良で、パン用小麦として世界的に最もすぐれた銘柄だと言われています。
日本で食べられる小麦のほとんどは海外から輸入
近年、『はるゆたか』や『春よ恋』など、国産小麦を使ったパンの人気が高まっているとはいえ、小麦は国内需要量の約9割を外国から輸入しています。

小麦はどこの国から輸入されているのか教えてください (農林水産省)をもとに筆者作成
農林水産省ウェブサイトによると、過去5年の平均流通量(2017~2021年度)は、国内産小麦85万トン、外国産小麦482万トン。
日本に輸入される小麦の大部分は政府が輸入しています。
小麦は生産国から日本まで、大型船で海を渡ってやって来ます。
日本で使用される主要な小麦のほとんどがアメリカ、カナダ、オーストラリアの3か国から、5銘柄を輸入されています。
政府がまとめて輸入し、日本に着いた後に製粉会社に売り渡されます。
輸入国 | 小麦の銘柄 |
---|---|
アメリカ | ウェスタン・ホワイト ハード・レッド・ウィンター ダーク・ノーザン・スプリング |
カナダ | ウェスタン・レッド・スプリング |
オーストラリア | スタンダード・ホワイト |
現在、政府が一般輸入方式で買い入れているカナダ産の銘柄が、カナダ・ウェスタン・レッド・スプリングです。
日本の輸入小麦の主力です。
一本挽きとは?
一般的な小麦粉は、白さを重視するために外皮を取り除き、小麦の中心に近い白い部分だけを使用して製粉されています。
一方、一本挽きの小麦粉は、小麦の粒を丸ごと挽いたあと、ふるいにかけて表皮を取り除いています。
そのため、小麦本来の甘みと香りを存分に楽しむことができます。
たま木亭の角食の特徴

たま木亭の角食は、ざっくりまとめるとこんな食パンです
- カナダ・ウエスタン・レッド・スプリング小麦一本挽きを使用
- 外皮はもっちり香ばしく、中はふわふわ
- 風味豊かなクラスト
- 毎日食べられる唯一の食パン
- 賞味期限は1-2日
カナダ・ウエスタン・レッド・スプリング小麦一本挽きを使用
小麦の素朴な風味が楽しめるカナダ産の良質なカナダ・ウエスタン・レッド・スプリング小麦一本挽きを使用した食パンです。
外皮はもっちり香ばしく、中はふわふわ
たま木亭のパンは全体的に表面はしっかり焼き色がつき、生地の香ばしさが感じられます。
角食も例に漏れず、パンの外側の焼き色がついた部分(クラスト)はこんがりと焼き上がっています。
上部はパリッとした層があり、より香ばしい風味。
かたいというよりは、もっちりと弾力のある生地です。
外皮の内側にあるやわらかい部分(クラム)は、ところどころに気泡がありながら、キメが細かく、ふわふわ。
口に入れると、しゅわーっととろけていきます。
風味豊かなクラスト
角食の袋を開けると、小麦の風味がふわっとします。
毎回この瞬間がたまりません!
個人的には、角食の魅力はクラストにあると思います。
もともとクラスト好きの少数派。
予約をする時はへたからの切り出しで5枚切りを注文します。
そのへたがついた1枚に目がなく、特に角食のへたつきトーストは格別です。
もっちり香ばしいクラストに包まれたふわふわのクラムとのマリアージュが絶妙。
バターと蜂蜜、チョコレートスプレッド、ピーナッツクリーム、あんペーストなど少し濃い目のスプレッドをつけるのがお気に入りです。
毎日食べられる唯一の食パン
たま木亭の角食は毎日おいしく食べられる数少ない食パンです。
高級食パンがブームだった頃には、さまざまな食パンを食べ比べました。
なかには本当に美味しいと思える食パンもありますが、大体が一回限りのお試しに。
特に生地が甘めの高級食パンはたまにはいいけれど、個性が強すぎて毎日食べたいとは思えません。
一方、たま木亭の食パンは、シンプルだからなのか、毎日食べていても、また明日も食べたくなる、唯一の食パンです。
名だたる高級食パンを試して、よりいっそうたま木亭の角食が好きになり、そのすごさを実感することになりました。
賞味期限は1-2日
食パンは買ってきた翌日以降に食べる人が多いと思います。
袋には特に賞味期限は記載されていませんが、早く食べるにこしたことはありません。
市販の食パンと比べて、角食は時間が経つと風味は落ちていきます。
常温で保存すると、翌日には若干水分が飛んで形が変わっているように見えます。
以前、梅雨の時期にうっかりして、4日目にうっすらとカビが生えてしまいました。
なので、購入日か翌日には2、3日以内に消費できない分を1枚ずつサランラップに包んで冷凍。
ふんわり香りが立ち上がり、柔らかな角食を冷凍する度に罪悪感を覚えますが、それでも最後の1枚までおいしく食べるにはやはり冷凍に頼るしかありません。
たま木亭の角食の楽しみ方
角食は予約購入がおすすめ
人気のパンは平日でも午前中に売り切れることもあり、角食もそのなかのひとつ。
でも、食パンは予約できます!
確実に購入したいなら、前日までに予約することをおすすめします。
予約時に、自分好みの枚数を伝えると、スライスした状態で受け取れます。
私は耳好きなので、耳を入れてスライスしてもらっています。
へた付きの1枚が思いっきり分厚くて、嬉しい悲鳴をあげることも!
予約したパンを受け取るだけなら、行列ができていても、警備員さんに断れば並ばず入店できます。
予約したパンを受け取る際に、次の予約をする常連さんもいらっしゃるようです。
朝のトーストはもちろん、手作りのサンドイッチにも
食パンは朝食にトーストする人が多いのではないでしょうか?
私自身、朝食はずっとパン派。
クロワッサンや菓子パンの時もあるけれど、毎日だとコストもかかるし、飽きてしまいます。
なので、基本はトースト。
バターやジャム、時には濃厚なスプレッドを塗っていただきます。
小麦粉の風味を生かしたシンプルな角食は何にでも合い、そのおいしさを引き立ててくれます。
言わば、白米のような存在。
毎日食べても飽きが来ません。
また、買った当日がベストですが、翌日までならそのままでサンドイッチにするのもおすすめです。
ハムやチーズ、野菜など自分好みの食材を準備して、角食で挟むだけでとびきり美味しい自家製サンドイッチが出来上がります。
角食は毎日食べてもまた食べたくなる
たま木亭は、公式サイトにも記載があるとおり、新店舗展開も、百貨店や商業施設への出店も、インターネット通販も一切していません。
こんなに売れているのに、なぜ新店を出さないのだろうと長く不思議に思っていましたが、それはオーナーの玉木氏のパン自身が持っている魅力を存分に良い状態で伝えたいという揺るぎない信念からの選択なのでしょう。
まさに角食を食べると、最高の状態で届けられているのだと納得します。
毎日食べてもずっと食べ続けたいパン、なかなか出会えません。
角食は惣菜パンや菓子パンに比べると地味かもしれません。
でも、ずっと食べ続けたいと思える、数少ない貴重なパンなのです。
特に、へた(クラスト)好きの人にとっては、満足度の高い食パンだと思います。
新しいパンや新しい味はとりあへず試すけれど、結局は角食に戻ってくるのです。
明日の朝のパン、たま木亭の角食があれば最強です!
