
京都市の隣、宇治市に店舗を構えるベーカリー『たま木亭』。
たま木亭では、食パンをはじめ、菓子パン、調理パン、食事パンなど多種多様な焼き立てのパンが並びます。
クロワッサンのプレーンタイプはクロワッサンたま木という名前がついた表面のパリッとした食感が個性的なたま木亭オリジナル。
そして、クロワッサンにクリームやチョコレート、フルーツを合わせたスイーツ系が充実しています。
たま木亭に実際に足を運んで得た情報や長年クロワッサンを愛食する体験を基に、人気のクロワッサンたま木について、特徴や購入方法、スイーツ系のクロワッサンの種類などを紹介します。
クロワッサンの誕生から日本で広まるまで
クロワッサンはオーストリア生まれ、フランス育ち
知らない人はいないんじゃないかと思うくらい、日本で愛されているクロワッサン。
クロワッサンとは、バターなどの油脂を生地に折り込んで何層にも重ね、三日月型に成形したパン。
クロワッサンはフランス語で croissant と綴り、三日月という意味です。
フランスの代表的なパンなのですが、実は、生まれはオーストリア。
その誕生の歴史は、1683年にオーストリア軍がオスマン帝国軍を撃破したウィーンが舞台。
勝利を祝して、現在のクロワッサンの原型といわれる三日月型のパンが作られました。
三日月はオスマン帝国の国旗、そして現在のトルコ国旗にも描かれるシンボル。
オスマン帝国のシンボルである三日月形のパンを食べたのです。
1770年、オーストリア王女マリー・アントワネットは、のちのフランス国王ルイ16世に嫁ぎ、三日月型のパンも一緒にフランスに連れていきます。
その後、ウィーン生まれの三日月型のパンはフランスで進化を遂げ、19世紀初め、バターたっぷりの生地を何層にも重ねた現在のクロワッサンに。
フランス流クロワッサンの誕生には諸説あるそうです。
こうして、三日月型を意味するクロワッサンがフランス国民の間に浸透していきました。
サクサクと軽い食感が特徴です。
日本でも人気を集めるクロワッサン
日本で最初にクロワッサンが作られたのは、戦後になってから。
その立役者は、1905年に神戸で創業した DONQ (ドンク)と言われています。
1954年に来日したフランス国立製粉学校の教授の講習を受け、試行錯誤を繰り返し、クロワッサンやバゲットなど本場のフランスパンを日本で広めました。
2025年に創業120年を迎えるドンクのクロワッサンは現在も人気があります。
ドンクは、2006年6月に焼きたてのミニクロワッサンをグラム単位で買える『Minione』 (ミニワン)というブランドも展開しています。
たま木亭オリジナル、クロワッサンたま木

クロワッサンたま木はどんなパン?
たま木亭のクロワッサンは、『クロワッサンたま木』という名前です。
一般的なクロワッサンとは少し違って、表面がパリッとして、独特の食感が楽しめる、たま木亭らしいオリジナルクロワッサンです。
ポップに書かれているように、ロデヴというパンの生地が表面に貼り付けられています。
ロデウは、南フランスにある小さな街ロデヴ発祥のパンで、自家製ルヴァン種を使用し、フランスパンには珍しい粗く大きな気泡のあるクラムが特徴です。
ルヴァンとは発酵種(だね)という意味で、小麦粉と水を混ぜて放置し、野生の酵母菌と乳酸菌と共に育てた天然酵母です。
ロデウは水分を多く含んでいるため、中身はしっとりとしてみずみずしく、皮は香ばしい食感。
ルヴァンのマイルドな酸味と長時間発酵による風味が融合して、インパクトのある味わいに仕上がります。
クロワッサンたま木はそのロデウの生地を表面にする事で、独自の食感と、コクを生み出しています。
クロワッサンたま木を購入するには?
クロワッサンたま木は底堅い人気があり、売り切れ必至。
平日でも午前中に売り切れることもあります。
残念ながら、予約できないので、確実に購入するには平日の午前中がおすすめ。
土日祝日や午後の時間帯に、あるかないかはその時の運!
クロワッサンたま木はレジ横のショーケースの下段にあり、セルフサービスではなく、レジで店員さんに頼んで取ってもらいます。
私自身はたま木亭に行くと必ずあしたのパンにクロワッサンを買います。
なので、入店すると、真っ先に右手のショーケースを見て、クロワッサンがまだあるかどうかチェックします。
数が少ない時は、レジにたどり着く前に完売になることもあり、そんなときは泣く泣くもう一度並び直して別のパンを購入します。
クロワッサンたま木の値段は?
2025年6月現在、クロワッサンたま木の税込価格は、1個280円。
この数年は小麦価格や物価の高騰の影響を受け、数回値上げされましたが、それでもクロワッサンたま木のクォリティを考えれば、納得できる価格だと感じます。
バリエーションが豊富

いわゆるプレーンタイプのクロワッサンはクロワッサンたま木のみですが、たま木亭にはクロワッサンのバリエーションがいっぱい!
例えば、
- クリームクロワッサン
- いちごのクロワッサン
- 栗とチョコのクロワッサン
- クロワッサンオザマンド
- クロワッサンメイプル
どれも甘い、スイーツ系のクロワッサン。
他にも、どれにしようか迷ってしまう程、色んな種類があります。
上から3つのクリームをたっぷり挟んだクロワッサンは入口正面の冷蔵ケースに。
クリームクロワッサンは表面に粉砂糖をまぶしたクロワッサンにカスタードと生クリームを合わせた滑らかなクリームがたっぷり挟まれています。
いちごのクロワッサンはシュークリームのような丸いクロワッサン生地に、クルミ、ベルギーチョコが包み込まれ、カスタードと北海道産生クリームを合わせたクリームが挟まれ、ツヤツヤのいちごがのっています。
甘酸っぱいいちごとカスタードクリームに、チョコとクルミまで入った、ちょっと贅沢な、とっておきのおやつです。
栗とチョコのクロワッサンは栗とカスタードがたっぷり、アーモンドクリームとチョコレートでコーティングされています。

他のクロワッサンはメインディスプレイの下段に並んでいることが多いです。
クロワッサンオザマンドはアーモンドクリームとラムシロップでしっとり、サクサクとした生地にアーモンドスライスがたっぷりちりばめられています。
ミニサイズのクロワッサンメイプルはカナダ産メイプルシロップが使われています。
また、2020年6月に新作として発売されたクニャワッサンは素朴な生地にフランス産発酵バターを折り込み、キャラメライズさせています。
名前から想像すると、クニャーネとクロワッサンを掛け合わせたたま木亭のオリジナル?
クニャーネのようにパリンとした生地なのに、クロワッサンのようにクラムはふんわり、しっかり甘く、おやつにぴったり。
クニャワッサンには、冷蔵ケースにチョコレート仕立てもあります。
たま木亭で人気のクニャーネについては、下記の記事に詳しくまとめています。

クロワッサンたま木の特徴
たま木亭のクロワッサンは、ざっくりまとめるとこんなパンです
- 外皮がパリッと香ばしく、独特の食感
- 芳醇なバターの風味
- クラムは細かな層でふんわり
- ぽっちゃり系の菱形
- 賞味期限は1~2日
外皮がパリッと香ばしく、独特の食感
表面にロデウ生地が貼り付けられているので、パリッと香ばしい独特の食感。
一般的なクロワッサンのサクサク感よりも、パリふわ感を楽しめます。
見た目がさらっとしているのも特徴。
芳醇なバターの風味
クロワッサンたま木亭を頬張ると、パリッとした食感の後に、ふんわりした生地から芳醇なバターの風味がしっかりと感じられます。
北海道産のバターが折り込まれています。
見た目はさらっとしていても、食べているうちに生地に溶けたバターが手につくことからも、ふんだんにバターが使われていることが想像できます。
クラムは細かな層でふんわり
薄い黄色みを帯びたクロワッサンのクラムは、何層にもなり、空気を含んだふんわり柔らかい生地です。
クラストのパリッとした食感と合わせて、パリふわです。
ぽっちゃり系の菱形
クロワッサンの誕生の歴史を辿る(たどる)と、もともとは三日月型でマーガリンが使われていました。
後にバターを使ったクロワッサンが登場。
フランスでは、形で見分けられるように三日月型はマーガリン、菱形(ひしがた)はバターと区別されているそうです。
一方、日本では形で区別されず、一般的に菱形です。
クロワッサンたま木も菱形で、少しぽっちゃりしたフォルム。
たま木亭のインスタグラムに、クロワッサンの成形行程が投稿されています。
バターが軟化してくるのでスピード感が大事で1日500枚を8人のスタッフで10分くらいで終わらせるのだとか!
何度も食べているせいか、成形した人によって形が少し違っているのに気づいて、フォルムを見ながら色々と想像を膨らませてしまいます。
賞味期限は1~2日
クロワッサンたま木は買ったその日に食べるのが一番おいしいです。
パリッとした独特の食感や生地のふわふわ感、バターの風味などが最大限に味わえます。
でも、その日に食べられる量には限りがあります。
それに、個人的にクロワッサンは朝に食べたいのです。
たま木亭に行った次の日の朝は軽くリベイクしたクロワッサンたま木とたっぷりのブラックコーヒーとともに1日が始まります。
シンプルだけど、いつ食べても裏切らない、とっておきのクロワッサンです。
たま木亭は京都の行列ができるベーカリー
たま木亭の基本情報

住 所 | 京都府宇治市五ヶ庄平野57-14 |
TEL. | 0774-38-1801 |
営業時間 | 8:00~18:45 |
定休日 | 月曜日、火曜日、水曜日 |
アクセス | JR奈良線黄檗駅 徒歩5分 京阪宇治線黄檗駅 徒歩6分 専用駐車場完備 32台 |
公式ウェブサイト | http://www.tamaki-tei.com/ |
たま木亭は2001年2月、京都府宇治市の黄檗駅近くにオープン。
記憶を辿ると、間口の小さなマンションの地階にあり、お客さんが数人でいっぱいになるような小さな店舗でした。
その後、2015年7月、そこから歩いて5分ほどの場所に移転して、リニューアルオープン。
現店舗は広い敷地に駐車場を備えた路面店で、京都大学の宇治キャンパスの向かいにあります。
季候が良い時期には、焼きたてのパンを芝生の上で食べる人の姿も見られます。
たま木亭は食べログの100名店に2017~20年と2022年に選ばれた実力店。
食べログで発表された京都府にあるパンのお店のランキング(2025年6月1日更新)で堂々1位に輝いています。
たま木亭はパン好きなら一度は行ってみたいと思うすごいベーカリーなのです!
たま木亭のパンの種類や店内の様子などについて、人気の食パンについては、下記の記事に詳しくまとめています。


営業日は木金土日
たま木亭は人気店なのに、週休3日!
営業日は木曜日から日曜日までの週4日間。
毎週月、火、水は休みです。
たまに臨時休業があるので、事前に公式サイトをチェックしておくと安心です。
周辺は食堂が数軒あるくらいで、特に何もない場所ですが、連日たま木亭のパンを目当てに訪れる人が後を絶ちません。
特に、土日祝日は朝から午後3時頃まで、府外からも大勢の人が来るので、道路まで長い行列ができることもあります。
支払い方法は現金のみ!
たま木亭は遠方から来る人も多く、爆買いする人も少なくありません。
ただ、支払い方法は現金のみ。
キャッシュレス派は、たま木亭に行く際は事前に現金があるか確認を!
店内でパンを選び終わったらレジに並び、順番が来たら、トレーを置きます。
クロワッサンや食パンなど食事パンやクニャーネはレジで頼みます。
マイバッグ持参なら店員さんに預けます。
4,000円以上購入すると紙袋が無料でもらえます。
セミセルフレジなので、レジ打ちが済むと、精算機に現金を投入して決済します。
クロワッサンたま木のパリふわが癖になる
公式サイトに記載があるとおり、たま木亭は新店舗展開も、百貨店や商業施設への出店も、インターネット通販も一切していません。
こんなに売れているのに、なぜ新店を出さないのだろうと不思議でしたが、オーナーの玉木氏のパン自身が持っている魅力を存分に良い状態で伝えたいという揺るぎない信念からの選択なのでしょう。
私にとって、クロワッサンたま木はあしたのパンの定番。
サクサクしたオーソドックスなクロワッサンも好きですが、すっかりパリふわのクロワッサンたま木のファンになり、見つけたら、必ず買うパンのひとつです!
クロワッサン生地のクォリティの高さはもちろん、食感にこだわりを持つ、たま木らしいパンだと思います。
個人的には、大好きなパンオショコラがないのが唯一残念に思いますが、バリエーション豊富なクロワッサンのスイーツはどれもリピートしたくなるものばかり。
たま木亭に足を運ぶと、クロワッサン好きにはたまらない、こだわりのクロワッサンが迎えてくれます。