熟成するクリスマス菓子!シュトーレンを味わいながら迎える年末

今年のクリスマス、どんなスイーツを狙ってますか?
シュトーレンはクリスマスが近づくと、少しずつスライスしては食べ進める、ユニークなお菓子。
ドイツ発祥のこの焼き菓子は、ここ数年で日本でもすっかりおなじみに。
私自身は、ドイツのベルリンにある老舗洋菓子店、コンディトライ・ラビーンのシュトーレンを食べるのが、毎年この時期の楽しみです。
本場の大きなシュトーレンを数週間かけて、じっくり味わい続ける体験を基に、シュトーレンの特徴や食べ方、日本で人気が定着した理由などをまとめました。
シュトーレンとは?
シュトーレンはドイツ生まれのクリスマス菓子
シュトーレンは、ドライフルーツやナッツ、スパイスを練り込んだ生地を焼き上げた、ドイツのドレスデン発祥のクリスマス菓子です。
シュトーレンはドイツ語で Stollen と綴り、もともと『坑道』を意味する言葉。
切り分けた時の断面が、雪の積もったトンネルのように見えることに由来するとも、おくるみに包まれた幼子イエス・キリストを表しているとも言われています。
表面にたっぷりとまぶされた粉砂糖は、雪や、おくるみの白を思わせます。
ちなみに、ドイツ語の発音により近いのはシュトレンですが、日本ではシュトーレンという表記の方が広く定着しています。
本場の響きを大切にしたいと思いつつも、この記事ではより一般的な『シュトーレン』の表記で進めます。
日本で進化するシュトーレン
日本でシュトーレンが初めて作られたのは1969年、福岡の老舗洋菓子メーカーがドイツからレシピを持ち帰ったのがきっかけと言われています。
その後、パン業界団体による地道な普及活動を経て、2014年に都内のパン祭りで行われた食べ比べイベントをきっかけに、知名度が一気に上昇。
今では多くのパン屋や洋菓子店、百貨店の定番商品となり、人気店のものは予約が殺到するほど。
抹茶やゆず、黒ごまなど、日本ならではの素材を使ったアレンジシュトーレンも増え、独自の広がりを見せています。
シュトーレンの特徴

- バターたっぷりの生地にドライフルーツとナッツがたっぷり
- ぽってり細長い生地の表面に真っ白な粉砂糖
- 数週間かけて食べるうちに味わいが変わる
バターたっぷりの生地にドライフルーツとナッツがたっぷり
シュトーレンはバターをたっぷり練り込んだ重厚な生地に、ラム酒などの洋酒に漬けたドライフルーツ、ナッツ、マジパン(砂糖とアーモンドをすりつぶしたもの)などがたっぷりと混ぜ込まれているのが特徴です。
焼き上げた後に溶かしバターが塗られています。
仕上げに、表面は真っ白な粉砂糖で厚く覆われています。
ぽってり細長い生地の表面に真っ白な粉砂糖
シュトーレンはぽってりと細長い形で、表面に白い粉砂糖がたっぷりとまぶされているのが特徴。
大きく分けると、くぼみのあるフォルムと、くぼみのない山型の2種類があります。
くぼみのあるタイプは、ドレスデンに伝わる伝統的な形状です。
数週間かけて食べるうちに味わいが変わる
シュトーレンはバターや砂糖、洋酒の作用で日持ちするのが特徴です。
焼き立てすぐが食べ頃というわけではなく、1〜2週間ほどかけてバターやフルーツの風味が生地全体に馴染み、しっとりとした深い味わいに変化していきます。
味わいの変化は、まさにシュトーレンが熟成している証(あかし)!
この熟成こそが、シュトーレンにハマる人が続出する理由の一つなのです。
シュトーレンの伝統的な食べ方
シュトーレンの大きな特徴は、1つのお菓子を何日もかけて、少しずつ食べ進めるという楽しみ方にあります。
キリスト教のクリスマス前の4週間(アドベント期間)に、毎日少しずつ薄くスライスして、クリスマスを待ちながら1枚ずつ味わうのが伝統的な食べ方。
切り分ける際は、両端からではなく中央から薄くスライスし、残った断面同士を密着させてラップ等で包むか密閉容器に入れると乾燥を防げます。
焼き立てよりも、少し時間を置いた方が、生地にしみ込んだ洋酒やスパイスの風味がなじみ、味わいが深まります。
日々熟成に伴う、味の変化を楽しみながら、自分好みのタイミングを見つけるのも、シュトーレンならではの楽しみ方。
同じクリスマス菓子でも、イタリアのパネットーネやパンドーロは、ケーキのようにカットして、集まった人数分を一度に分け合うことが多いです。
シュトーレンのように、1人、または少人数で、日をまたいで少しずつ味わう食べ方とは対照的。
パネットーネとパンドーロについては、下記の記事に詳しくまとめています。
日本でシュトーレン人気が定着した理由
- 時間の経過による熟成を楽しめる
- 新年を迎える前の年末の恒例行事に
- 少人数で楽しめる
- ブーランジェやパティシエによる創作シュトーレンの競演
日本で定着しているイタリアのスイーツは色々あるのに、なぜ、クリスマス菓子に限って、パネットーネやパンドーロよりもドイツのシュトーレンが人気なの?
そんな素朴な疑問を抱いて、日本でシュトーレンが好まれる理由を探ってみました。
時間の経過による熟成を楽しめる
焼き立てを楽しむだけでなく、ドライフルーツやナッツ、スパイスの風味が日を追うごとに生地へ馴染み、味の変化が魅力になるお菓子は他になかなかありません。
熟成するシュトーレンをじっくり数週間かけて味わうという習慣と合わせて、シュトーレンならではの個性が光ります。
新年を迎える前の年末の恒例行事に
シュトーレンは本来、アドベントの伝統として、少しずつスライスしてクリスマス当日までをカウントダウンしながら食べるという、特別なクリスマス菓子。
日本でもクリスマスを祝う人はいますが、やはり、キリスト教徒の最大のイベントとなるヨーロッパのクリスマスとはかなり趣(おもむき)が違います。
私の場合は、日本で毎年シュトーレンを食べているうちに、『クリスマスを待つ』から『今年もあと少し、新年の到来を感じる』ようになりました。
慌ただしい年末、日々熟成が進むシュトーレンを食べている時間は、ほっこり、リラックスできる甘いひととき。
いつしか新年を迎えるワクワク感をシュトーレンと共に楽しみながら、年末を駆け抜けるのが、恒例行事のようになっています。
少人数で楽しめる
少し前までは、クリスマスにはクリスマスケーキというイメージが圧倒的に強かった印象ですが、ホールケーキは高価で賞味期限は基本当日中。
華やかでゴージャスとはいえ、すぐに食べ終わってしまう、はかなさも感じます。
その反面、シュトーレンは日持ちするため、1人暮らしや少人数での食べやすさが魅力です。
同じ贅沢でも、クリスマス当日に食べ切るクリスマスケーキと、熟成を楽しみながら数周間味わえるシュトーレンを比べると、長く楽しめるシュトーレンは購入のハードルが低くなるのではないでしょうか。
ブーランジェやパティシエによる創作シュトーレンの競演
毎年10月に入ると、パン屋さんや洋菓子店、ホテルなどでクリスマスケーキといっしょに、シュトーレンの予約が始まります。
ブーランジェやパティシエのこだわりが詰まっているシュトーレンはパンフレットやリーフレットを見ているだけで食欲がそそります。
シュトーレンは大量のバターや洋酒に漬け込んだドライフルーツ、ナッツ、マジパンを使い、手間ひまをかけて作られるお菓子として、ブーランジェやパティシエにとっては腕の見せ所となるのです。
毎年、伝統的なシュトーレンをはじめ、日本の食材を使用した創作シュトーレンがどんどん生み出されます。
こうして、シュトーレンは日本で独自の展開を遂げています。
今年はどれにしようか、迷ってしまう程、たくさんのシュトーレン達がスイーツ好きのハートを刺激するのです!
本場ベルリンの老舗、コンディトライ・ラビーンのシュトーレン

ベルリンの老舗洋菓子店、コンディトライ・ラビーン
コンディトライ・ラビーン(Konditorei Rabien)は、1878年にベルリン近郊のポツダムで創業した洋菓子店です。
かつてプロイセン王家御用達の宮廷菓子店だったという歴史を持ち、現在は4代目がベルリンのシュテーグリッツ地区で店を営んでいます。
コンディトライとは、ドイツやオーストリアなどで見られる、カフェスペースを併設したケーキや洋菓子店のこと。
フランス語の『パティスリー』に近い意味を持ちます。
看板商品は、職人が炎の前で生地を一層ずつ丁寧に重ねて焼き上げる、本格的なバウムクーヘン。
店内のショーケースには、バウムクーヘンのほか、常時60種類ほどのケーキやタルトが並びます。
クリスマスの時期には、このシュトーレンも店頭に登場。
Konditorei Rabien
| 住所 | Klingsorstr. 13, 12167 Berlin |
| 営業時間 | 月〜金 9:00〜18:00、土 9:00〜15:00、日 12:00〜16:30 (時期により変動あり) |
| 公式サイト | https://www.rabien-berlin.de/ |
ベルリン旅行で訪れた、ラビーン
コンディトライ・ラビーンとの出会いは、ベルリンで実際にこのお店を訪れたことがきっかけでした。
名物のバウムクーヘンはしっとり柔らかくて、期待以上のおいしさで、旅行中のおやつにしたり、お土産にフィレンツェに持って帰って食べたり、何度も味わいました。
一緒に旅行した友達が、帰国後に日本のデパートでこのお店のシュトーレンを見つけ、その時の思い出とともに贈ってくれたのが始まりです。
日本での取り扱いがなくなってからも、友人が毎年個人輸入して送ってくれていて、気づけば長年の恒例行事になりました。
ラビーンのシュトーレン
ラビーンのシュトーレンはクリスマス用にデザインされた包装紙に包まれています。
毎年変わる色やデザインも楽しみのひとつ。
包装紙の包み方に懐かしさを感じながら(イタリアのパティスリーではセロテープ止めをせずに画像のように包まれる)、開けると、薄い白い紙に包まれています。
その中から、密封されずにビニタイで止められているだけのビニール袋に入ったシュトーレンが顔を出します。
本場らしいクラシックなスタイルのずっしりと大きなシュトーレン。
日本でよく見かけるシュトーレンと比べると、まずそのサイズに驚きます。
長さ30 cmくらいありそう。
この大きさなら、おくるみに包まれたイエス・キリストというイメージが湧きます。
さらに、驚くべきは賞味期限!
2025年のシュトーレンの賞味期限はなんと2026年3月1日!
18℃以下の常温保存で年末どころか、年を越せるのです。
ビニタイを外して、シュトーレンを取り出すと、ふわっと甘い香りが広がります。
くぼみのある伝統的なフォルムに、表面は白い粉砂糖で覆われています。
レーズンやオレンジピールなどのドライフルーツとアーモンドがふんだんに練り込まれた生地はしっかり甘くて、濃密、とても華やかな味わいです。
カルダモンやラムがさらに風味を豊かに、大人の味わいに。
最初の一切れは真ん中をカットして1 cmくらいの厚さにスライス。
私の場合、カットした断面同士をくっつけて、ラップを使わず、ビニール袋に入れて保存していますが、日が経過してもパサつきはありません。
むしろ、日に日に、熟成が進み、生地のしっとり感が増し、ドライフルーツやスパイスの風味と馴染んで、どんどんおいしくなります。
ティータイムに食べることが多いですが、時にはリッチな朝食やライトなランチにすることも。
どんどんおいしさが増すシュトーレン、いつまでも食べ続けたくなりますが、気がつけば、最後の一切れを迎えて、一大イベントが終わります。
日本でシュトーレンはどこに売ってる?
ベーカリーやパティスリー、ホテルなどの実店舗
日本国内でも、シュトーレンは手に入ります。
本場ドイツから輸入されるシュトーレンをはじめ、近年はベーカリーや洋菓子店、ホテルなどがオリジナルシュトーレンを創っています。
10月に入ると予約が始まり、11月には店頭にちらほら並び始めます。
また、デパートでも、クリスマスケーキと並んでシュトーレンの予約販売が始まります。
どこがいいか迷ったら、まずは普段パンやケーキを買っているお店で試してみるのがおすすめです。
Amazon・楽天市場・Yahoo!ショッピングでも購入可能
オンラインショップでも、さまざまなシュトーレンを取り寄せられます。
日に日に熟成が進むシュトーレンと迎える年末
いまや、ブームを超えて、クリスマススイーツの定番にまでなったシュトーレン。
シュトーレンがパン屋さんや洋菓子店の店先に並び始めると、いよいよクリスマスが近いと感じる人も多いのではないでしょうか。
華やかで、ゴージャスなクリスマススイーツ、どれにしようか見てるだけでも、ウキウキ、ワクワクします。
私自身は、シュトーレンを食べながら年末を過ごせることがとても有り難いと感じています。
シュトーレンを味わう度に、ドイツ旅行を懐かしく思い出し、毎年贈ってくれる友達の気持ちもとても嬉しくて、幸せな気持ちになります。
こんな風に、さりげなく、粋なプレゼントができる人になれたらいいなと思ったりもします。
シュトーレンは一年間がんばった自分へのご褒美にも、大切な人へのプレゼントにもぴったりなクリスマススイーツ。
シュトーレンを数週間かけて、味の変化をじっくり楽しみながら、素敵な年末年始を迎えてみませんか?

