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イタリアの秋に味わう栗、和栗とは違う?栗の種類とスイーツ

イタリアの栗(カスターニャ)

味覚の秋、イタリアでも栗は秋を代表する果実です。

栗が大好きで、焼き栗をはじめ、マロングラッセや他にもさまざまな栗を使ったお菓子を楽しみました。

日本で馴染みの食べ方もあれば、あまり知られていない食べ方もあります。

イタリアの秋を振り返りながら、栗の種類や栗を使ったスイーツ、和栗との違いについて紹介します。

イタリアの栗、マッローネとカスターニャ

イタリアの栗は、castagna (カスターニャ)と marrone (マッローネ)の2種類に区別されています。

カスターニャ小粒で押されたように厚みが薄い
マッローネ大粒でふっくらと丸みがある

イタリアの秋の風物詩、焼き栗

イタリアの露店の焼き栗

熱々が美味しい、香ばしい焼き栗

イタリアの栗と言えば、一番に思い浮かぶのは、焼き栗。

イタリア語では、castagne arrosto (カスターニェ・アッロスト)と言い、小粒のカスターニャに切り目を入れて、焼いた栗です。

秋から冬にかけて、栗の産地で開催される栗祭りや街の広場の食のイベント、街角の屋台、あちこちで焼き栗を見かけます。

芳ばしい香りと暖かい火に吸い寄せられるように焼き栗屋さんの前に立つと、大きな鍋で鬼皮ごと焼いた栗が弾けて中から黄色い実が顔をのぞかせています

新聞などに包んでくれるので、鬼皮をはずして熱々を口に入れると、表面はカリッ、中はホクホク、栗の甘みが広がって、自然と表情がほころびます。

焼き栗は手軽で、心も体も温まり、つい手が伸びてしまう、まるで日本の焼き芋のように親しみを感じる存在です。

家でも焼き栗が作れる穴あきフライパン

焼き栗は露天のイメージが強いですが、実は家でも楽しめます。

栗が出回る季節になると、毎年スーパーの売り場には沢山の栗の傍に、穴あきフライパンが並びます。

生の栗に切り目を入れて、焼き栗専用のフライパンを暖炉の火やコンロの火にかけると、爆ぜずに美味しい焼き栗が出来上がります。

栗の王様マロングラッセ

マロングラッセ、すみれの砂糖漬け添え

大粒のマッローネを使ったマロングラッセ。

マロングラッセは栗をまるごと砂糖で煮て作るお菓子で、栗そのものの風味を生かした上品な味わいです。

すみれの砂糖漬けが添えられることが多く、彩りが映え、ほんのり酸味が利いているので甘いマロングラッセをひきたてます。

街の通りのショーウインドーには、華やかに美しく飾られたマロングラッセが道行く人々の目を楽しませてくれます。

一粒からでも購入できますが、プレゼントにもよく選ばれます。

私は頑張ったときのご褒美に、お気に入りのスイーツ店で買って食べるのが楽しみでした。

丁寧に作られたマロングラッセを口に運ぶと、栗の風味と上品な甘みがふわーっと口いっぱいに広がり、幸せな気分にしてくれます。

トスカーナ州の伝統菓子カスタニャッチョ

カスタニャッチョ、栗粉を使ったイタリア(トスカーナ州)の伝統菓子

日本ではあまり知られていない、トスカーナ州の山間部の伝統菓子、castagnaccio (カスタニャッチョ)。

カスタニャッチョはトスカーナ以北で愛される秋限定のお菓子で、栗粉から作られます。

栗粉を水で溶いて、オリーブオイル、松の実、干し葡萄(レーズン)を混ぜ合わせた薄い生地を焼き上げ、表面にローズマリーなどを飾り付けます。

栗のやさしい風味に松の実の香ばしさと干し葡萄の甘味が加わった素朴な味。

毎年秋になると必ず食べていた期間限定、地域限定のお菓子です。

世界には4種類の栗

日本の洋菓子店では、この時期モンブランがショーウインドーを飾っています。

このところ、和栗と西洋栗、2種類のモンブランが並んでいるのをよく見かけます。

和栗は黄色みが強く、西洋栗は茶色っぽい。

色の違いから、イタリアの栗と日本の栗は種類が違うことはわかるけれど、他にどんな違いがあるのか気になります。

食べ比べてみようと思っても、実際には和栗と西洋栗、それぞれの栗の風味を活かしたテイストの違うモンブランで、意外と全く同じレシピで作られた2種類の栗のモンブランを見かけません。

それでも気になるので、調べてみると、世界には4種類の栗があることがわかりました。

和栗

大粒で風味が良く、甘さは控えめ、ホクホクとした素朴な味わいが特徴です。

果肉は黄色。

渋皮が剥がれにくく、果肉は割れやすい。

また、和栗には多くの品種があります。

西洋栗

イタリアやフランス、スペインなど、ヨーロッパで生産されています。

和栗よりやや小粒で果肉がしまっていて、粘り気が少なく、力強い風味です。

果肉は茶色。

渋皮が剥がれやすく、むきやすいのも特徴です。

中国栗

天津甘栗と呼ばれています。

渋皮が剥がれやすく、果肉がしまっていて甘みが強い品種です。

アメリカ栗

渋皮が剥がれやすく、果肉は粉質で甘みが強い品種です。

100年ほど前に発生した「胴枯病」で激減し、現在市場にはほとんど出回っていません。

栗の特徴を活かした食べ方が受け継がれている

実は、焼き栗用の穴あきフライパンはなぜ日本で見かけないのかずっと不思議に思っていました。

イタリアから帰国するときに、「日本でも焼き栗が食べたいなあ」、「穴あきフライパンを持って帰ろうかな」と思ったくらいです。

でも、栗の品種について調べてみて、そもそも和栗ではイタリア栗と同じようには焼き栗ができないのだと気づきました。

庶民派の焼き栗も、ちょっとリッチなマロングラッセも、栗粉の伝統菓子カスタニャッチョも西洋栗だからこそ美味しいのです。

和栗には和栗に合った食べ方、西洋栗には西洋栗に合った食べ方があり、その風味や特徴を活かした一番美味しい食べ方がその土地土地で受け継がれています。

土地のものをその土地で食べるのが一番美味しいと言います。

今は和栗を心行くまで味わって、次秋にイタリアに行くことができればイタリア栗をめいっぱい満喫したいと思います!