たま木亭 ショーケースに並ぶスヴィンバゲット

京都府宇治市に佇む、行列ができるベーカリー、たま木亭。

店内には目移りする程たくさんのパンたちが並び、ついリッチなヴィノワエズリー(菓子パン)に目が行きがちですが、たま木亭の真骨頂はハード系パンにこそあると感じます。

なかでも、2023年9月に発売されたスヴィンバゲットは、玉木シェフが小麦粉から日清製粉と共同開発して創り上げた特別なバゲット。

2026年2月放送の『情熱大陸』以降、人気が爆発、平日の午前中でも連日売り切れになったほど。

たま木亭のパンを愛食する体験を基に、唯一のバゲットとして人気のスヴィンバゲットについて、誕生するまでのプチ歴史、特徴、購入のコツ、楽しみ方などを紹介します。

たま木亭のスヴィンバゲット

スヴィンバゲットとは?

スヴィンバゲットは、たま木亭のオーナーシェフ、玉木潤氏が日清製粉と3年半がかりで共同開発した小麦粉、スヴィンゴールドを使って焼き上げるバゲットです。

SUVIN GOLD (スヴィンゴールド)という名前は、高級シャツに使われる希少な糸、超長綿に由来しているそう。

なめらかで光沢があり、肌触りが素晴らしいというその糸のイメージを、パンで再現したいという想いが込められています。

一般的なフランスパン用の粉とはまた違った個性を持つ粉で、焼き上がりの断面は黄色を帯び、デンプン由来の甘みとコクが際立つのが特徴です。

たま木亭バゲットのプチ歴史

2026年2月に『情熱大陸』で放送される以前は、たま木亭のバゲットは2種類ありました。

現在は、たま木亭でバゲットと言えば、このスヴィンバゲットひとつだけになっています。

実は、初めてスヴィンバゲットを食べた時、どこか懐かしさを感じて、振り返ってみると、今はなき、バゲットマニアックを思い出しました!

私自身は香ばしさと小麦の風味がガツンと感じられるバゲットマニアックの大ファン。

バゲットマニアックはかなり前に、定番と並んで販売されていたマニア向けとも言われるバゲットです。

スヴィンバゲットにはバゲットマニアックの特徴も受け継がれてる?

そんな疑問を抱き、私自身の記憶を辿りながら、調べてわかったバゲットのプチ歴史をまとめてみました。

たま木亭バゲットのプチ歴史

2001年
創業期~
定番
初期ブレンド
国内外から厳選した複数の小麦粉をブレンドした、長年親しまれてきた定番バゲット。クラストの薄さと、口の中でスッと消えるような口溶けの良さが特徴。
2010年代前半〜後半バゲットマニアックの登場18世紀の伝統製法を基に、天然酵母で2段階仕込み(翌日本ごね)した、粉の旨味を限界まで尖らせた、細めのバゲット。ハード系ファンを熱狂させた、香ばしさと粉の強い旨味が特徴。
2015年
移転前後
定番
4種類ブレンド
4種類の小麦粉(国産、フランス産、カナダ産など)を独自の比率で緻密にブレンド
2010年代後半~2026年初め定番
3種類ブレンド
→ヴィンスバゲット
粉の構成を3種類(北海道、フランス、カナダ)に絞り、口溶けの良さを追求。皮のパリッと感と中のしっとり感のコントラストをさらに高めた完成形として、ヴィンスバゲットという固有のネーミングに。風味と甘味が同居し、噛み締める度に溢れる旨味と余韻が残る味が特徴。
2023年9月10日~スヴィンバゲット「断面が黄色く、デンプン由来の甘みとコクがある理想のパンを作りたい」という玉木シェフの想いから、日清製粉と3年半かけてオリジナル小麦粉を共同開発。72時間もの長時間発酵を経て、突出した旨味と甘みが特徴。

こうした定番パンの移り変わりは、実際にお店に通ってみないとなかなか気づけないもの。

今回調べて、スヴィンバゲットが発売されてから、2026年初め頃まで並んでいたのはヴィンスバゲットだとわかりました。

そして、これまで販売されたバゲットのそれぞれの良さを引き継ぎながら、最終的にたどり着いたのがスヴィンバゲットなのです。

スヴィンバゲットのみになったのは、たま木亭の歩みとともに、進化を続けたバゲットが、玉木シェフの目指すバゲットとして完成した自信作だからなのではないでしょうか。

書籍『忘れられないパン「たま木亭」』では、基本の生地とそこから生まれた進化系という切り口で、バゲットを含むさまざまなパンが紹介されているので、今はもう食べられない味を知る手がかりにもなります。

スヴィンバゲットの値段は?

スヴィンバゲットの税込価格は、2026年9月現在、410円。

バゲット1本の価格としては、決して安くはありません。

でも、一度口にしてみると、玉木シェフが創業から20年以上かけてたどり着いたバケットにはそれ以上の価値があると感じます。

実際、何度食べても、また食べたくなるのです!

ちなみに、たま木亭での支払いは現金のみ。

72時間の長時間発酵で仕込まれる

スヴィンバゲットは、72時間という長い時間をかけて発酵させることで、粉の持つ旨みをじっくり引き出しています。

フランスパンをいろいろ食べてきた人にこそ選んでほしい、というシェフの想いが込められた一本です。

たま木亭のスヴィンバゲットの特徴

たま木亭 スヴィンバゲットの断面

たま木亭のスヴィンバゲットは、ざっくりまとめるとこんなバゲットです。

スヴィンバゲットの特徴
  • 玉木シェフが共同開発した小麦粉スヴィンゴールドを使用
  • しっかり硬い外皮はバリッと香ばしく、中はしゅわー
  • 噛みしめる程に風味と旨みがあふれ出す
  • 美しいクープとエッジ
  • 賞味期限は1~3日

玉木シェフが共同開発した小麦粉スヴィンゴールドを使用

玉木シェフ自身が夢と希望と可能性が詰まった小麦粉と表現するプレミアムな小麦粉が使用されています。

シェフがイメージした、出来上がりの粉質、味、香り、食感を実現するために、日清製粉と共同開発により誕生したのが、スヴィンゴールドなのです。

このスヴィンゴールドはたま木亭専用ではなく、2023年7月に発売され、日本全国、そして海外に羽ばたいています。

そして、シェフ自らが国内外で講習を開催して、この小麦粉の可能性を伝導されています。

こうした選択からも、玉木シェフのパンに対する深い愛情が感じ取れます。

しっかり硬い外皮はバリッと香ばしく、中はしゅわー

こんがり焼き上がったスヴィンバゲットは黄金色から褐色に近い色味。

しっかり焼き色がついた、攻めた焼き加減です。

買ってきた当日、スヴィンバゲットにナイフを入れると、グイーンと沈みますが、すぐに元に戻り、弾力性の高さは半端ありません!

ツヤのある、ほんのりクリーム色のクラム(外皮の内側にあるやわらかい部分)が顔を出し、バゲット特有のポコポコした大きな気泡が無数にあります。

クラスト(パンの外側の焼き色がついた部分)は薄いのに硬く、グッと噛まないと切れません!

もっちり粘りのあるクラストを噛み切ると、柔らかなクラムは口の中でとろけていきます。

この相反する食感のバランスが絶妙なのです!

噛みしめる程に風味と旨みがあふれ出す

このスヴィンバゲットのスゴさは何度も噛みしめると、どんどん小麦の香りや凝縮された旨みが広がっていくこと。

白米を噛めば噛むほど味が出る、そんなイメージです。

何度も噛んでいるうちに、スヴィンバゲットを食べ続けていたら、顎が丈夫になりそうと思うレベルの噛み応えのあるパンです。

よりシンプルかつ力強い小麦のコクを引き出すために創られたバゲットの魅力が詰まっています!

美しいクープとエッジ

スヴィンバゲットのクープ(切り込み)とエッジ(バリっと立っためくれ)は見た目が美しいだけでなく、生地の食感にも大きく影響します。

パカッときれいに開いたクープは、まるでバゲットの生地が顔を出しているよう。

買ったその日に、パーンと膨れたクープに触れると、ぷよぷよと柔らかく、弾力性があります。

『情熱大陸』で、クープがしっかり開いていないバゲットを玉木シェフがNGにしていたシーンがあったのを思い出しました。

一切の妥協がないバゲットなのです。

立ち上がったエッジは焼き色がしっかりとつき、バリッと一際香ばしく、食感の違いを楽しめます。

そして、食べ終わった後も、小麦粉の素朴な風味が口の中を満たし、長く余韻が続きます。

賞味期限は1~3日

スヴィンバゲットには、特に賞味期限は記載されていませんが、早く食べるにこしたことはありません。

一般的に、フランスパンは、常温保存で購入日を含めて2日〜3日(美味しく食べるには当日〜翌日)が目安です。

それ以上保存するなら、冷凍保存が基本。

とはいえ、せっかく手に入れたスヴィンバゲットはやっぱり買ったその日のうちに、そのまま食べるのが一番です。

でも、このスヴィンバゲットはリベイクすると、カリッと香ばしさが際立ち、また違う味わいが楽しめます。

たま木亭のスヴィンバゲットの楽しみ方

たま木亭 紙に包まれたスヴィンバゲット

購入のコツ

スヴィンバゲットの焼き上がりは、9:00~9:30の間です。

『情熱大陸』放送後、しばらくは午前中のうちに完売する状態が続いていましたが、最近になってようやく、お昼頃まで店頭に並ぶようになってきました。

とはいえ、人気のパンには変わりないので、確実にゲットするには、平日の早めの時間帯を狙うのがおすすめです。

土日祝日は朝から長い行列ができることが多いです!

スヴィンバゲットを購入すると、レジで紙に包まれ、細長いビニール袋とビニール帯が付いています。

カットしたスヴィンバゲットはこの袋に入れて保存します。

2026年9月時点で、スヴィンバゲットは電話での予約はできません。

1家族につき、1本までの数量制限あり。

限られた数のスヴィンバゲットを、店舗に足を運んだ1人でも多くの人に食べてもらいたいというシェフの想いからの選択なのではないでしょうか。

まずはそのままで、主役にも脇役にも

スヴィンバゲットは、主役にも脇役にもなるスゴイ、ハード系パンです。

ハード系パンとは、砂糖や油脂をほとんど使わず、小麦粉、水、塩、酵母などのシンプルな材料で焼き上げた、外皮がパリッと硬く中がもっちりとしたパンのこと。

ハード系パンは、ヨーロッパでは日常的に食卓に上る、いわゆる白米のような存在。

スヴィンバゲットももちろん洋食に合わせた食事パンとしてぴったりです。

でも、正直、脇役にしておくにはもったいないくらい風味豊かで、旨みが凝縮され、味わい深いです。

買ったその日のスヴィンバゲットを大きめにカットして、何もつけずにそのまま食べると、口の中に小麦の優しい旨みがジュワーッと広がり、次々に口に運んでしまいます。

放って置いたら、なくなるまでエンドレスに食べ続けてしまうほど、やみつきになる危険性も!

個人的には、スヴィンバゲットにお気に入りのワインと、生ハム、チーズがあれば、最高のご馳走。

翌日以降は、軽くリベイクするのがおすすめです。

リベイクするとクラストがカリッとするので、もちろん何もつけずに食べても楽しめますが、チーズをのせたり、バターをつけたり、オリーブオイルをかけたり、好きな食材をトッピングするとひと味違う美味しさに。

私自身は、ブルスケッタ風にして食べるのがお気に入り。

フレッシュなトマトと摘み立てバジル、ニンニク、上質のヴァージン・オリーブオイルを和えて、スヴィンバゲットの上に載せるだけで、色鮮やかな一品に。

塩味がしっかり効いているので、塩は加えなくても、スヴィンバゲットと食材のマリアージュを楽しめます。

たま木亭の基本情報

住 所京都府宇治市五ヶ庄平野57-14
TEL0774-38-1801
営業時間8:00〜18:45
定休日月曜日、火曜日、水曜日
アクセスJR奈良線黄檗駅 徒歩5分
京阪宇治線黄檗駅 徒歩6分
専用駐車場完備 32台
公式ウェブサイトhttp://www.tamaki-tei.com/

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圧倒的なコクと甘み、香ばしさとジューシーさ、色づいたクラム、高い保水力ともっちり感、口溶けの良さに、長く続く余韻・・・

特徴を挙げるとキリがありません。

万人受けするバゲットではないかもしれませんが、焼き具合やクラストの硬さ、小麦粉の素朴な風味が、ガツンとくる究極のフランスパン。

とにかく色々な試すのが好きな私ですが、結局はたま木亭のバゲットが一番好きで、食べる度にますますハマってしまうのです。

このブログを書きながら、スヴィンバゲットも角食も、試行錯誤を繰り返しながら、進化を続け、現時点で玉木シェフが最高のパンだと自信を持って焼き上げる、あえての1種類なのではないかと思いました。

バゲットの配合はシンプル。小麦粉、イースト、塩、水だけ。味わいを作り出すのに工夫した発酵と粉のブレンド工程の見極めがポイント

と、たま木亭のインスタグラムに投稿されています。

そのシンプルな素材が情熱と技術と経験を兼ね備えた職人の手にかかり、究極のオリジナルバゲットが生まれたのです。

スヴィンバゲット、ぜひお試しあれ!